『シェイプ・オブ・ウォーター』に愛がこもっていた話
水の輪郭…かっこいいタイトルですね。
デルトロ監督、アカデミー賞おめでとう!ってムード一色のツイッター(個人的なタイムライン)。もちろん嬉しいことだけど、監督の作品は大好きな『パシフィック・リム』しか観てない。
まずホラーが苦手なのと、『パンズ・ラビリンス』は死んでも観ないと決めているので必然的に観れる作品が少なかったのがあって。監督の得意というか好きな分野が異形のものとかレトロやゴシックや…っていうのはなんとなく知りつつ、実体験としては初でした。
(『ヘル・ボーイ』をさっさと観ろという話でもある。)
生々しいけど、きれいな映画だったなぁと。
不思議な半魚人、吃音の女性、ゲイのおじさん、半分狂った研究者…時代から抑圧されている人々が大切なものを守ろうとする姿は素直に感動出来た。
ラストの美しさが極まってるから、今ではもうポスターを見るだけでちょっと泣きそうくらいにはなってる。
まともに見える人間の方がよっぽど醜いという話なので、悪人野郎がどんどん醜いやつになっていくのは悲しくもカッコよかった。電撃棒とか安物キャンディとか印象に残るイカした悪役だ!
半魚人が出てくるけど、根本は生活に根付いた愛というのがとても好みで、性の部分にも正面からぶち当たっていたのが良かった。やはりセックスは愛の結晶なのだよワトスン君。
歪な背景とか環境にまみれた愛をしっかり描いてあるからラストが気持ちいい。
その後、他の人がどうなったかはわからないけど、あの2人が幸せに暮らしてるならそれでいいのかもしれない。
おじさんとの友情もかなり泣ける。
あれがあるから半魚どんに愛らしさを感じられるし、おじさんも可愛い。最後におじさんがハゲにもっとご利益もらおうとしてるのも笑えるし泣ける。半魚どんはあんまりわかってない風なのも良い。
バスの窓の水滴とか半魚どんとの水遊びとか、幻想的な画は素晴らしいけど、他のとこは淡々と描かれていのは良いとこでもあり、少し退屈に思える部分でもあった。
普段真面目な映画をほとんど観ない弊害がこんなところに来たとは…。
水っていうのが爽やかだったり、生々しかったり、色気があったり、映像的にももっと注目しなきゃいけない部分なのも勉強になった。
下馬評は固まってたとはいえ、観た映画がアカデミー賞を取るという体験もなかなか無かったので新鮮だ。
キャリアにも映画史にも残る傑作を撮ったデルトロ監督。素直におめでとうですね!
これからもフェチ全開の映画をいっぱい撮ってほしい!
それにしても悪人野郎のセックスにぼかし入っただけなのに、「作品に修正を加えるのは云々…」なんて話が噴出しているのは少し悲しい。人間の一種の醜悪さを描く大事な場面なので明言しづらいのはちょっとわかるけどなんともなぁ。
その意見自体はわかるけど、この映画においてはあまり当てはまらない気がするので、そんな人たちも誤解が解けて観に行ってくれることを祈る。