『ウルトラマンZ』に込める期待と不安の話
『ウルトラマンZ』がウルトラ面白いぜ!という話です。
近年落ち着きつつあったウルトラ愛を強烈に再燃させるほど、個人的にはスマッシュヒットしています。
相変わらずフェティシズム満載の田口監督ならではの特撮と作劇…!
特に序盤の話題をかっさらったセブンガーの「良さ」ったらないですが、そのあたりは語りつくされてるので一旦割愛。
第4話放映時点で気になっていることを書いてみます。
世界観をどこに置いているのか
今回の主人公、ウルトラマンゼットは光の国出身のウルトラマン。"自称"ウルトラマンゼロの弟子という少しトリッキーな肩書だ。
その設定を見た時にまずは少し驚いた。光の国出身!?
実は2013年の『ウルトラマンギンガ』以降のニュージェネレーション呼ばれる作品群で、初代ウルトラマンらと同じ光の国出身が明言されているのは前作の主人公ウルトラマンタイガくらいだったりする。(間違ってたら教えてください)
それ以外は良い感じに世界観が一新され、良い意味で既存の設定に捉われない活躍が描かれてきた。
しかしここ数年、バラバラだったそれらの世界観をギュッとまとめて押し出そうという動きがある。
1つは『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』、もう1つは前作『ウルトラマンタイガ』だ。
『ニュージェネレーションヒーローズ』はタイトル通り、『ギンガ』以降に活躍したウルトラマンたちが一挙に集い、共闘を繰り広げていた。
さらに『ウルトラマンタイガ』ではそれらのニュージェネレーションに加えて、光の国出身のタイガや、公式がどう扱ってるのかもよくわからなかったU40出身のタイタスまで登場。
次元は異なっていてもすべての世界は繋がっていることを強調したような作りだった。
さて話を『Z』に戻すと、主人公は光の国出身だ。
加えてニュージェネレーションからウルトラマンジードの出演は決定しており、さらには『ウルトラマンオーブ』の悪役(?)ジャグラスジャグラーも予告に映りこんでいる。
少なくともこの時点で3つの作品の時空は共存していることになる…?
(ついでに憶測の域を出ないが、ゼットの変身テクノロジー周りが『ウルトラマンX』のそれに似ているように感じて仕方がない…。)
正直、何かを仕掛けようとしているんじゃないかという期待感でウズウズしている。
前作とは違ったアプローチでウルトラマンのマルチバース感を推し進めてくれる作品になってくれたら嬉しい。(ゼットの体色に赤が少ないことも若干気になっている。)
怪獣のチョイス
ウルトラマンに欠かせないのは怪獣の存在。
今回の『Z』も怪獣が生物らしい生き生きとした表情と人類の脅威となる荒々しさを見せつけてくれるのでとても楽しく視聴している。
この辺りは作風というか監督の手癖なのか。
ただここにも気になることが。怪獣のチョイスが明らかに偏っている。
第1話に登場した新怪獣ゲネガーグを除いて第5話までの登場怪獣『ウルトラQ』や『ウルトラマン』など初期のものに絞られている。
単純にそういう作品ですといってしまえばそれまでだが…、
どんどん昭和後期平成の登場怪獣に移行してきたりするのか…。
それともこれ自体にも仕掛けがあるのか…?と良くない妄想を巡らせてしまう。
もちろん、それが許されるほどの完成度と遊び心あってのことなので、結局なんでもなかったというオチでも完全な許容範囲と思わせられているのが何ともニクい。
作劇と物語の縦軸
毎週楽しみに視聴してはいるが、少しだけ不安な部分もある。物語の縦軸だ。
現在は毎回登場する怪獣とのドタバタと、ウルトラマンゼットの活躍を純粋に描いているが、
恐らく話数が進むごとに『ウルトラマンZ』という物語全体の骨子が見えてくるはずだ。
今までの作品でいえば騒動の黒幕の存在だったり、主人公たちの出自に関わる部分だったり…各話の展開に捉われない全体の流れが必ず存在する。
それが本格的に軸となり始めた時に、現状の遊び心あふれる作風やノリが失われてしまわないかと不安になってしまう。
前作の『ウルトラマンタイガ』ではもろもろ面白そうな設定でワクワクしていたが、それらはボイスドラマ等のスピンオフで展開され、本編の物語は黒幕とのハードな闘いに終始していた。
魅力的なキャラクターたちと設定なだけに…個人的には少しもったいなかった気がしている。
『Z』にどんな縦軸が用意されていて、どう展開していくかが予想がつかないが、現在の雰囲気がドツボなだけに期待半分不安半分だ。
と、オタクの妄想を垂れ流した記事になってしまったが、それだけ毎週熱狂して楽しんでいる。
通しでは未視聴だった過去作も観返したので、どこかのタイミングで『ウルトラマンR/B』と『ウルトラマンタイガ』の感想も書きたい…!
無事に公開が決まった劇場版を観た後でガツガツと書いていこう。