ウルトラ作戦◯◯号

映画の感想を中心に日々のことをつらつらと書いていきます。

『ホークアイ』が狙いたかったものって何なんだろうという話

 

年始に貯めてた『ホークアイ』を一気見しました。

(一応映画館にはほぼ行けてないですが、ディズニー+で配信中の『ワンダビジョン』等のドラマや公開後に配信された『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー』は一応視聴済み。)

 

▼コミック由来だけどロゴかっこいいよね

Hawkeye Vol. 1: My Life As A Weapon (Hawkeye Series) (English Edition)

 

『エージェント・オブ・シールド』やらNetflixの『デアデビル』やらをあんまりちゃんと見てないのでディズニー+限定の話になりますが、

MCUのドラマ、個人的に傑作!みたいな出来のものに出会えておらず…。

どれも「まあ、面白かったかな…」くらいの感想でいつも終わっちゃうんですよね。

「暗い」とか「重い」とか言われてるのもありますが、なんか単純に見てて気になる部分が多すぎるという気がしています。

(ドラマという形態が自分に合ってないとか、そもそもの熱量が下がっているという可能性もありますが…)

 

ホークアイ』に関しても例に漏れず「まあ、面白かったかな…」という感じ。

ただ結構ノリ良く見れる作りになっていた気がするので他のドラマに比べたらお気に入りではある。

 

ホークアイ』としてやりたかったこと

自分が勝手にMCUに期待している作品の作りとして、テーマとキャラクターと展開と…色んな要素が強固に嚙み合っている、というものがあります。

大のお気に入りの『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でいうと、トニーとの死別からの成長としてのアップグレードスーツ、『エンドゲーム』で浮足立ったユニバース全体を刺すミステリオのロジック、それをぶん殴るヒーロー性の象徴であるスパイダーセンス…みたいな。

描きたいものと描写と配置された人や物がいい具合に噛み合った感じがMCU独特の高い満足度に直結する部分なのかなと思っています。

 

その点でいうと今回の『ホークアイ』の主なテーマというかやりたいことは、

「ケイト・ビショップへの継承」「ローニンへのけじめ」が大きな部分だと一旦仮定します。

かつ、ユニバース的なお仕事(要素)として「エコーのオリジン」「エレーナの再登場」、そして「キングピンの復活」があったわけで。

うーん、これを1時間×6話で…と改めて思ったりしますが、結果としてはどれも中途半端じゃなかったかなと。

 

おそらくホークアイは今後一線を退いていく立場の人間なので、過去との決別を描くのは必須で、その理由付けで『エンドゲーム』でのローニンを時期を引っ張ってくるのはとてもしっくりくる。

闇競売でローニンのスーツをたまたま拾っちゃったケイトがその恨みを買って…という流れはなるほどなと唸ってしまった。こんなことやめて家族と過ごしたいという意味でクリスマスシーズンなのもちょっと面白い。

 

ただ中盤から終盤に色んなものを詰め込みすぎた結果、「ケイトへの継承」は割と流れ的に処理されちゃったような感覚があります。

巻き込まれただけの素人なので危険だから前に出したくない→「お前は相棒じゃない」までは全然わかるんですけど、そこからの「お前は相棒だ」までの展開がやや唐突だったかな…。

ケイト自体は好きになれるし、やっぱり親代わりしてるの苦労人してる時が一番輝くクリントもとても良かったのに少し残念な感じ。

 

「ローニンへのけじめ」に至っては何をしたらけじめをつけたことになるのかよくわかんないんですよね。備品を回収すればそれでいいのか、恨んでくる連中を壊滅させたらいいのか(いいわけない)…。

あの頃のことを抱え込んでいるのは別の描写としてあるからわかるけど、じゃあそれを踏まえて何をしなきゃいけないのかが不明確だった。(というか流れで車ごと爆破とかしてるけどそれはそれでいいのか)

 

各キャラクターに関して

じゃあその分時間を使ったエコーが、エレーナが、キングピンがいなかったら成り立たないかというと…別にそんなことない気がするんですよね。人気キャラが出てきて嬉しい!というのはもちろんありますが、少し浮いてたかな…。

 

エコーに関しては今後独立したキャラクターとして活躍していくのもあって、彼女の心情みたいな部分も含めて良くも悪くも別軸になっちゃってたなという印象。

ローニンの罪の象徴みたいな立場ですけど、ケイトや家族が狙われてなかったらクリントはほったらかしにしてたんですかね…って思っちゃうんですよね。黒幕はボスでした…じゃあ裏切ろう!それでいいんかお前!殺したのはローニンやぞ!

単純にステゴロがめっちゃ強いのはかっこよくてよかった。バイクもめっちゃ似合ってたし。

固有の能力みたいな部分はこれから描写されていくと思うので、それはとても楽しみ。

 

エレーナもエレーナで半分くらい何しに来たんだお前…という感じで。

ホークアイのけじめとしてナターシャが重要なのはとてもわかるし、その相手としてエレーナは適任中の適任なはずなのに、「姉さんはお前のせいで死んだんだ」「違う、自分からだ」「嘘だ!」の不毛さよ…。しかも最終回のラストだぞ。

ママビショップを説得して依頼が解消されたからスッと帰るみたいな感じかと思ったら、普通に納得していなくなってしまった。ちょっと役回り的に損してないかな…。

「ナターシャは俺が殺したんだ」「そんなわけあるか!姉さんはてめえに負けないわ」くらいの逆問答の方がまだスッキリ見れた気がする。

でもケイトとの絡みはめちゃくちゃ楽しかったので今後も腐れ縁的に絡んでほしい。というかこれがやりたかっただけじゃないだろうなってくらい良かった。

 

キングピンな…。先ほども書きましたが『デアデビル』見てないのであまり突っ込んだことも言えないんですが、彼も彼でちょっともったいなかった。

裏社会のボスとしても、なんでかわからんけどめっちゃ強いのもすごくよかったのに、登場時間が短いせいで普通に負けちゃった人みたいになってる!

契約的にどうなるかわかりませんが…、もし今後も出るようなら顔見世程度でもよかった気がする。

一目見て只者じゃないのはわかるが演者さんのすごいところで、かつ今回の衣装も本人が気に入ってるコミックの表紙での服装を提案したなんて話もあり…、ぜひとも今後も出てほしいなぁ。

 

でもホークアイてかっこいいよね

ここまで悪く書けるのか…と自分でも驚いているんですが、実は割と楽しんで見てました。

さっきも書きましたがホークアイの魅力の一つに『エイジ・オブ・ウルトロン』でも印象的な親ムーブがあって。それは今回がっつり発揮されたんじゃないかなと思います。

何より、なんでこんなことになってんだよちくしょう…みたいな表情が本当に似合う。

スーパーパワーもないけど誰かを助けるために体を張ってしまう性分も、若さゆえやや無鉄砲になってしまうケイトといい感じにマッチしてていいバディじゃないっすかと。

 

なんだかんだ地味になってしまう役回りにも嫌味っぽく言及されていて、ケイトがオタク早口でヒーローとしての理想を押し付けていく様もカジュアルに楽しめる。

あのしっかり作ってあるくせに悪意たっぷりのミュージカルもなかなかやりおるなと…。

でも本当に大事なのは安全確保とか傷口の処置なんだよねっていうバランス感覚も良かった。

 

弓矢のアクションも結構凝ってて見てて飽きなかったですね。

ずっと心のどこかで「そんな矢あるんだ…」と思いながら見てたトリックアローに対するケイトのリアクションも新鮮で、スタークやらピムやらを出してきてちょっとニヤッとさせるあざとい部分もあり。

3話のカーチェイスはもちろん、最終話も見せたいものがハッキリしてて素直に楽しめた。

ロックフェラーセンターのツリーぶっ倒してスケートリンクで乱戦させよう!って言いだした人は愛すべき馬鹿なので今後も色んなドラマに関わってください。

 

毎話挟まる家族描写も良い緩急になっていて、ちょっとほっこりさせる機能もありながらケイトにクリントの人間的な部分を見せつける役割もあり、家族の存在が明確化されてるホークアイならではでズルいなぁと思ってました。

これまで普通にいい奥さんみたいな感じだったのが急に有能ぶりを出してきてどうした?と思ったら元エージェントでしたと…。シールドは色々かき集めれば再建できるんじゃないか?

 

ちょっと全体的に詰め込んじゃった分、部分部分で粗さが目立つ感じになってたけど、

初のホークアイのメイン作品としてキャラクターの魅力はたくさん感じられました。

ヤング・アベンジャーズがどうのみたいなうわさも出てるのでケイトの活躍は今後も見れるのかなと期待しつつ、おそらく今後もシーハルクやらジェーンやらで第一世代からの継承は描かれていくわけなので各キャラクターならではの展開も楽しみだなぁと。

MCUドラマは予算をかけながらもしっかり時間をかけてそれぞれのキャラを描ける強み弱みがはっきりしつつあるけど、今後のラインナップも楽しみながらしっかり見守っていきたいですね。

 

MCUとしてはとりあえず目先のスパイダーマンが楽しみですが、今後も起きるかもしれない色々に備えてNetflix勢も履修しておくか…と感じた年始でした。